幼児教育の歴史

今日、幼児を取り囲む環境は目まぐるしく変化し、日本では少子高齢化時代を迎えています。未来を担う子どもたちに何を身につけさせておかなければならないでしょうか。それは「教育」です。

わが国も今後も持続可能な発展をしていくために、人間形成の基礎を培う幼児教育の充実が必要不可欠です。「人づくりは国づくり」幼児教育の無償化、幼小連携、社会・家庭教育との連携など、課題解決にむけて、今を生きる子どもたちのため、質の高い幼児教育を図ることが重要です。

大成幼稚園は子どもの未来を育てています。

大成幼稚園は1944年9月10日創立。今年75周年を迎えます。

 日本の幼稚園の歴史

1840年 ドイツで幼稚園の創設「遊び」による幼児教育

   フレーベルによる幼稚園の創設

1840年にドイツでフレーベルが、それまでの初等教育で狙いとする基礎的な能力・学力を身につけさせるための教育を行う幼児学校とは異なった、遊びを通して幼児の自然な発達を促すための施設として、幼稚園(Kindergarten)を創設しました。

フレーベルの構想は階級や身分等の差別のない、統一的な幼稚園で、すべての幼児を対象に人間としての生活と発達を保障しようとするものでした。また、フレーベルは幼稚園教育を高度な教育的資質を有する専門的な教師の手によってなされるべきと考え、幼稚園教師の養成に力を注ぎました。

1876年 日本に幼稚園が誕生 東京女子師範学校付属幼稚園の創設と幼小連絡問題

  当初はフレーベルに習い「遊び」を通しての「学び」が中心

日本では1873(明治6)年のウィーン万国博覧会の欧米教育視察団がドイツやオーストリアの幼稚園見聞を通して、幼稚園が働く父母の子育てを助けるだけでなく、遊びや作業によって幼児の教育を行い、就学前の学業にも成果をあげていることを知り、幼稚園設置の必要性を説きました。

そして、1876(明治9)年に日本発の幼稚園が東京女子師範学校に付属幼稚園として創設され、その教育は全面的にフレーベル主義幼稚園の方法にならい、「遊び」を通しての「学び」で子どもの能力を発達させるものでした。

1881年 読み書き算盤が授業に

  「遊び」のみへの不満。読み書き算盤の授業が組み込まれる

この「遊び」を通しての「学び」に対して、保護者の反応は冷ややかで遊んでばかりで何も教えてくれないといった不満があり、1881(明治14)年から保育課目に「読ミ方」「書き方」を加え、小学校初年級との共通化を図りました。この保育における読み書き算盤の採用は幼稚園を小学校の予備教育機関に傾斜させ、就学準備型の幼稚園の普及ににつながり、幼稚園教育の効果に対する疑問につながっていきました。

1889年 読み書き算盤を排除 幼稚園改革の推進

  「遊び」を通しての「学び」への再転換

1889(明治22)年、幼稚園教育の批判の高まりの中、幼稚園改革が取り組まれました。読み書き算盤の授業を廃止し、フレーベルに学び、本来の「遊び」を通しての「学び」の場に再転換し、付属幼稚園に分室を設置し、都市下層の幼児の保育を無償で実施しました。

1934年 誘導保育論の誕生  保育理論の構築と保育カリキュラム

  ー アメリカ新教育理論の受容 ー

1934(昭和9)年、倉橋惣三氏による「誘導保育論」が展開され、系統的保育案、「生活における保育カリキュラム」が作成されました。

1944年9月10日 大成幼稚園創立

1947年 学校教育法  戦後の幼児教育改革

第2次世界大戦後、保育要領と幼稚園設置基準が作成されました。

戦後の幼児教育改革、幼保の年齢別一元化と5歳児保育の義務制が検討されますが、幼保の一元化、5歳児保育の義務制は見送りになっています。

1947(昭和22)年制定の学校教育法において、学校として幼稚園が規定されます。

1956年 5つの目標・6領域  幼稚園教育の発展と課題

1947(昭和22)年に作成された保育要領が改定され、1956(昭和31)年に幼稚園教育要領として示されました。この中で、幼稚園教育要領に基づき実情に則した指導計画をを作成することとされました。

また、幼稚園設置基準作成協議会が設置され、1956(昭和31)年に幼稚園設置基準が示されました。

1989年 6領域→5領域

1989(平成元)年に幼稚園教育要領の改訂が行われ、従来の6領域から5領域に変更されました。主体的な活動を促し、「遊び」を通しての「学び」が主導されています。

一方、保育ニーズの多様化や子どもの発達という視点からの幼児教育の再構築の重要性が高まっています。

2017年 幼稚園教育要領の改訂|社会に開かれた教育課程

“より良い学校教育を通じて、より良い社会を創る”が目標。

学校と社会が連携・協働しながら、新しい時代に求められる資質・能力を子どもたちに育む「社会に開かれた教育課程」を実現。